「広報は、やったほうがいい」——そう分かってはいても、いざ始めようとすると、手が止まってしまう。
私が工務店さんの広報をお手伝いするなかで、いちばん多くいただくご相談が、まさにこの「何から始めればいいのか分からない」というお悩みです。次いで「スタッフがいるけど教育できる人がいない」というお悩みも多く聞きます。
はじめまして。はぐくむ株式会社の高橋かずえと申します。私は住宅会社さん(工務店・リフォーム・外壁塗装)に特化した広報支援をしています。
この記事では、広報をこれから始める住宅会社さん(工務店・リフォーム・外壁塗装)さんが、最初の90日で何を、どんな順番で進めればいいのかを、できるだけ具体的にお伝えします。読み終えるころには、「とりあえず、まずこれをやればいいんだ!(できそうかも~!)」という最初の一歩が見えているはずです。
なぜ工務店・リフォーム会社の広報は「何から」で止まってしまうのか
最初にお伝えしたいのは、「何から手をつければいいか分からない」と感じているのは、決して準備不足でも、やる気が足りないからでもない、ということです。
理由は、広報という仕事が「やれること」が多すぎて、しかもそのすべてがつながっているからです。
ホームページ、ブログ、Instagram、YouTube、施工事例、お客様の声、チラシ。広報と一口にいっても、選択肢は無数にあります。そして、世の中にある情報の多くは「Instagramの伸ばし方」「ブログの書き方」といった“手法”の話ばかりで、「どれを、どの順番でやればいいのか」を教えてくれるものは、ほとんどありません。
つまり、止まってしまうのは当然なのです。だって、地図を持たずに、いきなり走り出せと言われているようなものですから。(しかもバズってほしい‥などの期待もありますしね)
裏を返せば、順番さえ分かれば、広報は動き出せます。才能やセンスの問題ではなく、「進め方を知っているかどうか」の問題なのです。
最初にやるのは「発信」ではなく「設計」
ここで、いちばん大切なことをお伝えします。
広報を始めるとき、多くの方が「何を投稿しよう」「どんな写真を載せよう」と、いきなり“発信”から考え始めます。けれど、これが最初のつまずきの原因になります。
家づくりにたとえると、分かりやすいかもしれません。設計図を描かずに、いきなり木材を切り始める工務店さんは、いらっしゃらないはずです。広報も同じで、最初に必要なのは「発信」ではなく「設計」です。
広報における設計図とは、次の3つを言葉にすることです。
ひとつ目は、「自社の強み」を言語化すること。お客様は、なぜ他社ではなく自社を選んでくださったのか。その理由をはっきりさせます。
ふたつ目は、「届けたい相手」を明確にすること。すべての人に向けた発信は、結局、誰の心にも届きません。誰に一番届けたいのかを決めます。
みっつ目は、「伝える媒体」を決めること。InstagramなのかYouTubeなのかブログなのか。あれもこれもではなく、まずは一つに絞ります。
この3つが定まっていないまま発信を始めると、投稿のたびに「何を書こう」とゼロから悩むことになり、内容もばらばらになっていきます。逆に、設計さえできていれば、発信は驚くほどラクになります。
最初の90日でやることを、時系列でご紹介します
それでは、具体的に最初の3ヶ月で何をすればいいのか。1ヶ月ごとのステップでお伝えします。
1ヶ月目:土台をつくる(設計の月)
最初の1ヶ月は、発信はしなくて構いません。土台づくりに集中します。
やることは3つです。まず、自社の強みの棚卸し。過去に受注できたお客様に「なぜうちを選んでくれたのか」を思い出す、あるいは実際に聞いてみる。お客様の声のなかに、自社の強みは必ず眠っています。
次に、届けたい相手を決めること。年齢層、家族構成、暮らしの価値観。一番来てほしいお客様像を、一人の具体的な人物としてイメージできるところまで落とし込みます。
最後に、今ある発信媒体の棚卸し。ホームページやSNSが今どうなっているかを、一度冷静に見渡します。
2ヶ月目:型をつくる(仕組みの月)
2ヶ月目は、続けられる「型」をつくります。
まず、重点媒体を一つに決めて、そこに集中します。複数の媒体を同時に始めると、まず間違いなく続きません。
次に、発信カレンダーをつくります。「いつ、何を発信するか」をあらかじめ決めておくことで、毎回ゼロから悩まずに済みます。
そして、投稿のテンプレート化。施工事例なら「この順番で書く」という型を決めておけば、発信のハードルは大きく下がります。
3ヶ月目:回してみる(運用と振り返りの月)
3ヶ月目は、いよいよ実際に発信を回していきます。
ここで大切なのは、「完璧」を目指さないことです。3ヶ月で目指すのは、立派なコンテンツではなく、「無理なく続けられる状態」です。
そして、数字を振り返ります。ただし、見るべきは「いいね数」ではありません。問い合わせや資料請求といった、本当に成果につながる数字を見ます(この話は、また別の記事で詳しくお伝えします)。
うまくいかない部分があれば、続けられる形に調整する。3ヶ月目は、その微調整の時間です。
よくある失敗:いきなりSNSを始めてしまう
ここまで読んで、「やっぱり、まずInstagramから始めればいいんでしょう?」と思われた方がいたら、少しだけお待ちください。
工務店の広報で、いちばんよくある失敗が、この「いきなりSNSを始める」パターンです。
なぜ失敗するのか。設計図がないままに発信を始めると、投稿の内容がばらばらになり、すぐにネタが尽き、そして成果が見えないために心が折れてしまうからです。
「とりあえずInstagram」で始めた発信が、3ヶ月後には更新が止まり、「やっぱり広報は難しい」という挫折感だけが残ってしまう。これは、本当によく目にする光景です。
SNSが悪いわけではありません。設計のないSNSが続かない、というだけのことです。順番を守れば、SNSはむしろ強力な味方になってくれます。
まとめ:第一歩は、「自社の強み」を言葉にすること
最後に、もしこの記事を読んで「全部はできないかもしれない」と感じたとしても、ひとつだけやってみてほしいことがあります。
それは、「お客様は、なぜうちを選んでくれたのか」を、紙に書き出してみることです。
たった1枚のメモかもしれません。けれど、その1枚が、これから始まるすべての発信の土台になります。
広報は、特別な才能ではなく、「順番」と「仕組み」です。順番さえ間違えなければ、どんな工務店さんでも、必ず動き出せます。
そして、その90日の進め方を、書き込み式のシートにまとめた資料をご用意しています。「自社の強み」「届けたい相手」「重点媒体」を順番に整理できるようになっていますので、最初の一歩を踏み出すお供にしていただけたら嬉しいです。

