「この施工事例、ホームページに載せてもいいですか」——この一言が言えなくて、完成写真がスマホやパソコンに眠ったままになっていませんか。
新築やリフォーム工事自体は喜んでもらえた。施工中から施工後の写真もたくさん撮ってある…。あとは載せるだけの状態になっているはず。
それなのに、お施主様への「お願い」のハードルだけが越えられないケースは少なくありません。実は「依頼しにくい」というのが、文章力よりも写真よりも手前にある、施工事例が止まる隠れた原因です。
この記事では、断られにくいお願いのタイミングと言い方、そして掲載許可書に入れる7項目と文面例をまとめました。読み終わる頃には、「頼みづらい」が「この順番で頼めばいいのか」に変わるはずです。それでは最後までお読みくださいね!
「頼みづらい」の正体は、遠慮ではなく段取り不足です
載せたいのに頼めない理由を伺うと、だいたい同じ答えが返ってきます。「単純にお客様にお願いしにくい」「ご迷惑では」「断られたら気まずい」「個人情報のことでかえって不安にさせそう」などなど。
わからなくもありませんが…! でも、取材の現場で私たちが感じているのは逆です。きちんとお願いされて嫌な気持ちになるお施主様は、ほとんどいません。自分たちが悩んで決めた家づくりが、誰かの参考になるのは、それはむしろ嬉しいことなんです。
施工事例の執筆代行をしている「はぐくむ」のお客様にヒアリングしていると、「施工事例を隅々まで読んでくださっている方からの問い合わせがある」と話してくださいます。そうなってくると、丁寧に工事をしてくれた会社の販促に協力しないわけはないのです。自分の家もいつかは掲載されるかも、掲載するほど立派な事例なのかと思ってもらえるはず。
断られる場面の多くは、お願いの中身ではなく、タイミングが唐突だった場合です。引き渡しから半年後に突然電話がかかってくれば、誰でも身構えます。つまりこれは「人柄」や「関係性」の問題ではなく、段取りの問題。そして段取りは、仕組みにしてしまえば誰でも回せますよ。
断られないお願いは、3回に分けて小さくする
おすすめは、1回の大きなお願いではなく、3回の小さなお願いに分けることです。
1回目:契約〜着工のタイミングで「予告」する。「完成したら、ぜひ施工事例としてご紹介させてください」と一言添えるだけ。この時点では返事を求めません。心の準備をしてもらうのが目的です。
このブログを読んでいる方は、きっと丁寧な工事に自信があるのに掲載できない方。そうであればすべての工事にプライドがありますよね!「自慢の工事になるので、ぜひ施工事例でご紹介させてくださいね」と一言伝えることで、会社の熱意も感じていただけるかもしれません。
(補足ですが…値引きの交渉がはいったときの材料として「施工事例に出てくださいね」と断れない理由を伝える会社様もいらっしゃいますよ^^♪)
2回目:引き渡しのときに「正式にお願い」する。お引き渡しは、喜びがいちばん高まっている瞬間です。「以前お話しした掲載の件、あらためてお願いできますか」と、許可書を添えてお渡しします。予告があるので、唐突になりません。
3回目:公開前に「実物を見てもらう」。できあがった記事と写真を見てもらってから公開します。「見てから決められる」という安心があると、2回目の返事のハードルも下がります。
人は、大きなお願いを一度にされると防御的になります。小さく分けて、最後に「確認してから」の安心を渡す。この順番そのものが、「この会社は丁寧だ」という印象になって返ってきます。許可取りは、実は誠実さが伝わる接点なんです。
ちなみに引き渡し時は、住み心地の声をいただく約束を取り付けるチャンスでもあります。声のもらい方と質問リストはこちらにまとめています。
→ 施工事例の例文集|お客様の声・担当者コメントの文例と、本音を引き出す質問

掲載許可書に入れる7項目
口頭のOKだけで進めると、あとで「SNSに載るとは思っていなかった」のような認識ずれが起きます。お互いを守るために、A4一枚の許可書を用意しましょう。入れる項目は次の7つです。
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| ① 掲載媒体の範囲 | ホームページ・SNS・チラシなど、使う場所を具体的に列挙する |
| ② 写真の範囲 | 外観・内観・人物の写り込みを分けて、それぞれ可否を確認する |
| ③ 個人情報の表記 | 「◯◯様邸」やイニシャル表記、地域は市までなどのルールを明記 |
| ④ 図面・費用の扱い | 間取り図や工事費を載せるかどうかを個別に確認する |
| ⑤ 掲載期間 | 原則の期間(無期限か、期限つきか)を書いておく |
| ⑥ 取り下げの申し出 | 「お申し出があればいつでも削除します」の一文を必ず入れる |
| ⑦ 署名欄と日付 | 口頭ではなく書面(またはPDF)で残す |
文面の冒頭はシンプルで大丈夫です。たとえば——「このたびは工事のご用命をありがとうございました。お住まいの施工事例を、下記の範囲で当社のホームページ等に掲載させていただきたく、ご確認をお願いいたします。なお、掲載後もお申し出いただければ、いつでも削除いたします」。
7つのなかでいちばん大事なのは⑥です。「いつでもやめられる」と書いてあるだけで、お施主様の心理的なハードルはぐっと下がります。通販の返品保証と同じで、実際に使われることはほとんどないのに、あるだけで安心して一歩を踏み出せる。そういう一文です。

外観・地域名・顔。不安を先回りする3つの配慮をしましょう
許可書とあわせて、こちらから先回りして伝えると信頼につながる配慮が3つあります。
ひとつめは、外観の全景写真と細かい地域名を組み合わせないこと。どちらか一方なら特定されにくくても、セットになると場所が絞れてしまいます。
ふたつめは、人物が写る場合は後ろ姿や手元を選ぶこと。
みっつめは、公開前に必ず本人に見てもらうこと。判断に迷ったら「自分がお施主様だったらどう感じるか」で決めます。
掲載する写真の選び方・撮り方は、こちらで詳しく解説しています。
→ 施工事例の写真の撮り方|スマホでOK・撮るべき5場面とキャプション文例

断られたら、引き際も広報のうち
丁寧にお願いしても、断られることはあります。そのときは、食い下がらないでください。目の前の1記事より、お施主様との関係のほうがずっと大きな資産です。新築やリフォームは、工事が終わってからが本当のお付き合いの始まりですからね。
ただし、ゼロか100かにしない工夫はできます。「外観はなしで内観だけなら」「お名前は一切出さない形なら」「工事中の写真だけなら」。このように選べる形をいくつか用意しておくと、「それなら」と言っていただけることは少なくありません。そして見送りになった場合も、「また機会があればお声がけください」で気持ちよく締める。この引き際を見て、次のお施主様が安心して引き受けてくれます。
よくある質問(FAQ)
- 昔の工事を今から載せたい。あらためて許可は必要?
-
必要です。ただ、心配しなくて大丈夫。時間が経ってからの「あのときの工事をご紹介させてください」というご連絡は、覚えていてくれたことが伝わって、むしろ喜ばれることが多いです。点検やリフォームのご相談につながることもあります。
- 謝礼は用意すべき?
-
基本的に必須ではありません。はぐくむがアドバイスするときは、施主様の拘束時間が発生したときは御礼をする方がよいと思うと伝えます。お掃除をして待っていてくださるケースもあるので。その場合は、クオカード5000~10000円くらいか、おいしいお菓子などが喜ばれるとお伝えしております。
施主様の時間的拘束がなくても良いケースでは金銭よりも、完成写真のデータ一式のプレゼントや、掲載ページを印刷してお渡しするなど、記念になるお礼のほうが喜ばれます。
- 許可はメールやLINEでもいい?
-
記録が残る形であれば有効です。ただ、書面やPDFのほうが「どこまで載せてよいか」の範囲を明文化しやすく、認識ずれを防げます。トラブル防止の本体は、署名そのものより範囲の明文化です。
まとめ
掲載許可は、取りにくいものではなく、取り方が決まっていないだけ。予告→引き渡し時の正式依頼→公開前確認の3ステップに分けて、許可書には「いつでも削除できます」の一文を付け加えましょう。この段取り自体が、御社の丁寧さを伝える広報になります。
許可がもらえたら、あとは書くだけです。
→ 施工事例のテンプレート完全版|そのまま埋める8項目と記入例【工務店・リフォーム】
施工事例全体の書き方・考え方はこちら。
→ 施工事例の書き方|工務店が「選ばれる理由」まで伝える構成
載せているのに反響がない、という段階の方はこちらもどうぞ。原因は5つに絞れます。
→ 施工事例が集客につながらない理由|載せているのに反響がないときの直し方
取材で聞くことを整理したシートを無料配布しています。
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