お施主様インタビューの質問リスト20|「決め手」を引き出す聞き方と順番

はぐくむのインタビュー質問案
高橋かずえ
はぐくむ株式会社 代表取締役
2005年創業・住宅雑誌、住宅書籍の執筆実績あり。住宅会社(工務店・リフォーム・外壁塗装)に特化した広報支援をしています。

お施主様インタビューで何をヒアリングすればいいのか。この記事には、そのまま使える質問リスト20があります。

ただ、先に注意点を伝えたいのですが…これまでの経験上、質問そのものより、実は<聞く順番>のほうが結果を左右すると思います。

いきなり「決め手は何でしたか」と聞いても思い出せません。たいていは「担当者さんの感じがよかったから」とか「対応が信頼できた」、あるいは「相見積もりのなかで一番安かった」などなどで終わってしまいますます。嘘ではありませんが、記事にするのにはもう一歩、いい言葉を引き出していきたいところです。

この記事では、ヒアリングするときの順番の話をして、そのあとに具体的な質問を20問を並べます。ぜひそのまま使ってくださいね!

(自社でできなさそう!っておもったら、ぜひ私たちにご依頼ください → 工務店のオンラインアシスタント)

目次

聞く順番は、この5つのブロックで決まります

順ブロックここで引き出すもの
1まずはアイスブレイクで場を温める(話していい雰囲気をつくる)
2家づくりを始めたころの話当時の状況と、困っていたこと
3依頼した工務店やリフォーム会社の決め手比較検討のなか、選んだ理由
4住んでからの変化気持ちの変化、健康の変化、ライフスタイルの変化など。課題解決できたこと
5周りの人への一言少し先を歩いた先輩からのアドバイス

この順番には理由があります。

人は、過去から順に辿らないと思い出せません。 「決め手」は結論なので、いきなり聞かれると要約した答えしか出ません。でも「家を建てようと思ったきっかけ」から順に話してもらうと、途中で当時の気持ちが戻ってきます。そのあとで決め手を聞くと、具体的な場面つきで答えてもらえます。

そして最後を「周りの人への一言」にするのも意図があります。評価する立場から、助言する立場に入れ替わるからです。「良かったです」より「こういう人には合うと思います」のほうが、検討している人は自分に当てはめられます。

質問リスト20

ブロック1|場を温める(4問)

  1. 【1】今日はお時間をいただいてありがとうございます。この時期、おうちの中はいかがですか
  2. 【2】お住まいになって、どのくらい経ちましたか
  3. 【3】ご家族は何人でお住まいですか
  4. 【4】今日は、家を建てるまでのことと、住んでからのことをお聞きします。お答えにくいことは「それはちょっと」と言っていただければ飛ばします

4問目を飛ばさないでください。 何を聞かれるのかが分からないまま始まると、お施主様はずっと身構えたままになります。何を聞くかを先に言うだけで、あとが全部ラクになりますよ。

ブロック2|家づくりを始めたころ(4問)

  1. 【5】家を建てようと思ったきっかけは、何でしたか
  2. 【6】その前は、どんなお住まいでしたか。どんなところが不便でしたか
  3. 【7】最初はどうやって調べましたか。何社くらい見ましたか
  4. 【8】当時、いちばん分からなかったことは何ですか

特に聞いてほしいのは 「前の家の不便」です。具体的に答えやすい質問です。「寒かった」、「収納がなかった」、「音が気になった」などなどここで出た不便が、あとの「住んでからの変化」と対になります。

「当時、いちばん分からなかったことは何ですか」は、検討中の人がいま感じている不安とそのまま重なります。 記事の見出しになることが多い質問です。

ブロック3|決め手(4問)

  1. 【9】何社か見た中で、最後に残ったのはどこでしたか
  2. 【10】その中から決めた理由は、どこにありましたか
  3. 【11】決めたのは、どのタイミングでしたか。何かきっかけになる出来事はありましたか
  4. 【12】もしその会社に出会っていなかったら、どうなっていたと思いますか

「決めたのは、どのタイミングでしたか。何かきっかけになる出来事はありましたか」を必ず入れてください。 「決め手」を聞くと理由が返ってきますが、「きっかけ」を聞くとストーリーで答えが返ってくることが多いです。

例えば、こういう答えが期待できます。

「プレゼンしていただいた帰りに、夫婦で話して決めました」「予算が足りないと言ったときに、いろいろとバランスを考えてくれたので対応力で決めました」。こういった人と人との関係性が見える一行は、施工事例には書けません。

会社の対応力、提案力が見えてきます。記事でいちばん読まれます。

ブロック4|住んでからの変化(6問)

  1. 【13】住み始めて、いちばん変わったことは何ですか
  2. 【14】(ブロック2で出た不便)は、いまどうなりましたか
  3. 【15】ご家族の過ごし方で、前と変わったところはありますか
  4. 【16】お気に入りの場所はどこですか。そこで何をしていますか
  5. 【17】住んでみて、意外だったことはありますか
  6. 【18】この機会に、ひとつだけ言うとしたら。強いて言えば、気になっているところはありますか

「不便・不満はいまどうなりましたか」が、この記事でいちばん伝えたい質問です。 ブロック2で聞いた不便を、ここでそのまま持ってきます。

(前半)「冬の朝、起きるのがつらかったんです」

(後半)「寒かったとおっしゃっていましたが、いまはいかがですか」

こう聞くと、お施主様自身が前後を比べて話してくれます。書き手が「暖かくなりました」とまとめるより、ずっと強い言葉が出ます。

「お気に入りの場所はどこですか。そこで何をしていますか」は、施工写真やそこで過ごす施主さんたちの写真とセットになります。言葉だけでなく、撮るべき場所も分かります。

「この機会に、ひとつだけ言うとしたら。強いて言えば、気になっているところはありますか」は、不満を聞く質問です。聞きにくいので、「この機会に」「強いて言えば」と枠をつけて、ひとつだけと限定します。

書く・書かないは後で判断するとして、会社にとっても課題が見つかる質問です。また、あえて記事に出す判断をするケースもあります。ケースバイケースですが、ネガティブ要素もあえて出すことで、より信憑性が高まることもあるからです。

ブロック5|周りの人への一言(2問)

  1. 【19】いま家を検討している方に、先に経験した方として何か伝えるとしたら、どんなことですか
  2. 【20】どんなご家族に、この会社を勧めたいと思いますか

20問目は、事例記事でいちばん使えるパーツです。

「おすすめです」は誰でも言えます。でも「子どもが小さくて、これから長く住む家を考えている人」と言ってもらえると、読んだ人が自分を当てはめられます。

この1問を足すと、話が深くなります

20問の中でひとつだけ選ぶなら、11問目(決めたきっかけの場面)です。

理由は、人は理由を聞かれると要約し、場面を聞かれると思い出すからです。

  • 「決め手は何でしたか」→「対応が良かったので」(要約)
  • 「決めたのは、どのタイミングでしたか」→「見積もりが予算を超えていて、正直に言ったときの返事で」(場面)

後者には、会社の姿が入っています。前者には入っていません。同じ人に、同じ日に聞いても、質問の形だけでこれだけ変わります。

もっと深堀するために気をつけたいこと、3つ

ここは正直に書きます。全部、私がよくやってしまって、改善できたらしたいな~と感じていることです。

① 褒めすぎる

「すごいですね」「いいですね」。悪気はないのですが、褒めが入った瞬間に、相手の説明は止まります。 褒められた側は、それ以上言う必要がなくなるからです。

肯定の相づちを3回に1回、答えの促しに替えてください。「それはどういう感じでしたか」「そのとき、何が困りましたか」。

(私はこれがなかなかできないんですよねー。ついつい褒めがち難しい)

② 相手の代わりに答える

相手の言葉が出にくいときに「例えば○○とか」など具体例のヒントを出してしまいます。親切のつもりですが、もう少し相手の思考を待ってあげてもいいんじゃないかなと感じることも。

沈黙が怖くてついつい場を持たせることを言ってしまいますが、あえて間を置くこともテクニックかなと感じます。

③ 質問を重ねる

「あの、最初はどうやって調べて、何社くらい見られて、そのときどう思われましたか」。

こう聞くと、相手は最後のひとつにだけ答えます。 聞きたかったことの3分の1しか取れません。1回の発話に、質問はひとつです。

あーこれも自分で書いておきながら、いつも大反省の私のヒアリング。

ここから先は会話を深めるためのテクニックです。

ご家族・ご夫婦に聞くときは、答えを待たずに全員に聞く

ご主人に「不便だったことはありますか」と聞いて「特になかったです」と返ってきたら、そこで粘らないでください。

奥様に振ると、具体的な話が出てきます。 逆もあります。

「奥様は、何か気になさっていたところはありましたか」

同じ家に住んでいても、見ている場所が違います。答えが出てくることを粘るより、皆さんから一言聞いた方がいいです。それが思い出すきっかけになってたくさん出てきますよ。

写真を見ながら話すと、思い出してもらえます

施工時の写真や図面をテーブルに出して、「ここは何でしたか」と聞きながら進めてください。

記憶から引き出すのは難しいのですが、目の前にあるものについては、誰でも話せます。 「そうそう、ここが大変で」と出てきます。

ただし注意点があります。写真に写っていないものは、聞き忘れます。 太陽光、外構、収納の中。質問リストに「写真にないもの」を1行だけ足しておくと防げます。

私は図面を見ながら、家事動線や帰宅動線を考えながらヒアリングをすることが多いです。

「書いていいか」は、その場で確認する

これを後回しにすると、原稿ができてからひと手間が増えます。取材の終わりではなく、出てきたその場で確認してください。

  • 「いまのお話、記事に書いても大丈夫ですか」
  • 「お名前は、イニシャルにしますか。それとも◯◯様でよろしいですか」
  • 「お子さんの写真は、顔が入らないように撮りますね。それでも載せたくなければ外します」

その場なら「これはちょっと」と言ってもらえます。 原稿を見てからだと、言いにくくなります。

まとめ

  • 質問より、順番が結果を決める
  • 過去から順に辿る。決め手は後半に置く
  • 前半で聞いた「不便」を、後半でそのまま持ってくる
  • 「理由」ではなく「場面」を聞く
  • 最後は「どんな人に勧めたいか」で締める
  • 褒めすぎない。代わりに答えない。質問を重ねない

★そのまま印刷して使える質問シートを用意しました。

→ お施主様インタビュー 質問シート20(A4・3ページ/無料ダウンロード)

★誰にお願いするか、どう依頼するかは、こちらに書きました。

→ お客様インタビューの作り方決定版|選ばれる理由を残すインタビューコンテンツの完全ガイド

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この記事を書いた人

高橋 かずえのアバター 高橋 かずえ 代表取締役

はぐくむ株式会社 代表取締役 高橋かずえ|2005年創業。工務店やリフォーム会社の「伝える」を、22年支えてきました。

住宅業界を専門にするインタビューライターとして、そして工務店・リフォーム会社の広報を支援する伴走者として活動しています。2005年に独立し、「はぐくむ」を立ち上げました。以来、経営者・職人・現場監督、そして家を建てたお施主様まで、これまでにインタビューをした方は1,000人を超えます(導入事例、お客様の声、採用、経営者インタビューなど)。住宅そのものの取材は500件以上になりました。

住宅雑誌への執筆から、街の工務店さんの広報媒体、ハウスメーカーの制作物まで、幅広く手がけています。

kazue(at)hug-kumu.com  ※(at) を@に直してご連絡ください。 

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