工務店の広報が続かないのは、やる気のせいじゃなかった|5社の担当者が話してくれた「止まる理由」と続け方

高橋かずえ
はぐくむ株式会社 代表取締役
2005年創業・住宅雑誌、住宅書籍の執筆実績あり。住宅会社(工務店・リフォーム・外壁塗装)に特化した広報支援をしています。

「ホームページやSNSの更新、始めたんですけど、続かないんです」

工務店やリフォーム会社の方から、いちばんよく聞く言葉です。

2026年、はぐくむのなかでは「インターネットに言葉を残していく1年間」と決めていまして、このブログもしっかりと更新し始め、自社がお手伝いしている会社様へのヒアリングも開始しました。

さっそく、お忙しい中お時間をいただき、じっくりとお話を伺わせていただきました。事務と広報を兼ねている担当者様、経営者様、住宅会社のWeb運用を支える会社の代表さん…と立場はバラバラです。

それなのに、話の中身は驚くほど似ていました。5社とも、一度は自分たちで広報をやろうとしていたんです。そして、例外なく止まっていました。

止まった理由は、やる気でも、センスでもありませんでした。この記事では、5社の言葉をもとに「広報が止まる理由」と「続いている会社がやっていたこと」をまとめます。

目次

HPやSNSの更新が止まる理由① 広報を「兼務」でやっている

皆さんに共通していた一つめは、広報を専任でやっている人がいないことでした。

富山のリフォーム会社で広報を担当している方は、営業さんをサポートする事務の仕事と兼務です。
長野の工務店のご担当者様は、経理・総務の仕事を半分持ちながら広報をしています。

こんな風にお話してくださいました。

経理や事務と兼務で、書類とパソコンに囲まれ、広報まで手が回らない担当者のイラスト

経理総務が忙しくなってくると、広報が義務感になる。忙しいけどインスタ更新しなきゃ、とか。仕事として重たい。

東大阪のリフォーム会社の経営者様は、営業の立場からこう言います。

リフォームの営業は、お客さんの接客や、現場の職人さんとのやりとりに、ものすごく時間を奪われる。ホームページの更新は別の仕事、二の次になる。

九州で屋根工事をしている会社の経営者様は、事務員が4名いても書けなかったと話します。

今までその施工事例の更新も弊社の事務員さんが担当していたんですけども。弊社の事務員さんも4名で、総務、経理、そして営業のサポートという形でしているので、なかなか人手不足を私も感じるところがありまして。そこでいっぱいになった事務員さんたちも、なかなか詳しく施工事例が書けないという弱みもありました。

人が足りないから書けない、という話ではありません。人がいても、兼務だと書けない。これが現場で起きていることでした。

また、住宅会社の集客支援している会社の代表さんによれば、売上2〜3億円ほどの会社なら、広報に専任を置けてもせいぜい1人。多くの会社では、その1人も置けません。

広報が止まるのは、担当者が怠けているからではありません。そもそも、広報に使える時間が工務店・リフォーム会社様の仕事の中に用意されていないんです。

HPやSNSの更新が止まる理由② 難しいのは「始める」より「続ける」こと

二つめは、工務店・リフォーム会社様のHPやSNSの更新が止まるのは、継続できないことが理由です。

どの会社様も何年も前にスタートはできていました。ホームページがあったり、インスタのアカウントがあったり。最初は「やろう!」と気持ちも乗りますよね。

しかし、ある会社の担当者様は、当時をこう振り返ります。

月に1件できるかな、とか。ない時はもうずーっとない。社長に「そういえば最近、施工事例出てないね」と言われて、慌てて書いていました。

リフォーム会社の経営者様は、こう話します。

ずっとホームページは持ってはいたけど、更新できるようなサイトではなかったんですね。

皆さん、ホームページを新しくすれば「施工事例を更新しよう!」って思います。インスタグラムが流行っていれば「うちでもやろう!」って思います。でも、現場で本当に困っているのは、始めたあとに止まってしまうことではないでしょうか。

HPやSNSの更新が止まる理由③ 「営業さん、時間ください!」は後回しにされてしまう…

三つめは、5社の話の中でいちばん意外で、いちばん大事な発見でした。

広報の担当者が、施工事例を書くために営業さんに話を聞こうとします。でも、なかなか時間をもらえません。

施工事例の聞き取りをお願いしに来た広報担当と、電話や作業で手が離せない営業担当のイラスト

施工事例を書くから「聞き取りの時間をください」と言うと、社内のことだし後回しにされがち。

営業さんが悪いわけではありません。目の前のお客様と現場が最優先なのは、当然のことです。社内の頼みごとは、どうしても「あとでいいか」になります。

ところが、外の人間が取材に入ると、後回しにできなくなりました。

外の第三者が入ってくれると、営業さん自身が率先してタスクとしてカレンダーに入力し、時間を作ってくれるようになるんです。

社外の人との約束になると、予定として動き出すんです。これは、思ってもいない効果だと言います。社内だけではなかなか解決できない問題です。

HPやSNSの更新が止まる理由④ 毎日見ていると、自社の強みや良さが見えなくなる

四つめは、書こうとしても、何を書けばいいか分からなくなることです。

毎日同じ「住宅会社」という環境で仕事をしていると、仕事自体が当たり前になってしまって。商品のことや提案内容について、ホームページを見た人に伝えなきゃいけない内容だということが、私の中では抜けてしまう。

さらに、事務の方には建築やリフォームの専門知識がないことも多いです。

専門知識がなく、施工事例をどう書けばいいか分からずに悩む事務担当者のイラスト

知識がないから、具体的な表現ができない。トイレ取り替え工事ばっかり更新しても、同じ記事にしかならない。そこが悩みでした。

鹿児島で屋根工事をしている会社では、お客様と向き合う担当の方がこう話してくれました。

全部の現場の写真を見たりすることもなかなかないので。その時にいろいろ見てくださって、「こういうことをしてるんですね」っていうことを言われると、また改めて自社の職人もしっかりと丁寧に仕事をしてるんだなっていう、現場の写真も振り返ることができるので。

この方は、現場で工事をしているわけではありません。だから写真を見て、職人さんの仕事に改めて気づくことがあるそうです。取材をしていて、私にとっても初めての視点でした。

自社の良さは「見えなくなる」のではなく、見る機会がないのかもしれません。

大阪の現場担当の方も、同じことを言っていました。

取材を通じて、毎回「うちの良さ」を、知ってもらえる。

毎日そこにいる人ほど、自社の良さが当たり前に見えてしまいます。書く力が足りないのではなく、どこにフォーカスして記事にしていいのか。書くべき材料が見えなくなっているんです。

HPやSNSの更新が続いている会社がやっていたこと

外部のライターが同席して進む、施工事例の取材・ヒアリングのイラスト

では、HPやSNSの更新が止まっていた5社は、いまどうやって続けているのか。共通していたのは、次の5つでした。

記事の制作をアウトソースして、社内の時間を調整している

一つめは、ヒアリングや聞き取りを外部の専門業者に任せていることです。

先ほどの「外の人が入ると、営業さんが時間を作ってくれる」という話のとおりです。さらにある担当者様は、取材の中で営業さん自身が昔の現場を思い出すようになった、とも話していました。

ヒアリングに同席していると、質問してくれるので「あ、そういえばあの時こうだった」と、営業さんたちがよく話してる。

社内に眠っていた話が、外から質問されることで出てくるようになったと言います。

月1回、更新するページを2〜3ページに絞っている

二つめは、やることを更新する内容を小さく区切っていることです。

ある工務店では、月に1回オンラインで打ち合わせをして、次の1か月でやることを2〜3個だけ決めています。担当の方は、それを「宿題」と呼んでいました。

追いついてないんですけど、それでも宿題がもらえるのがありがたいです。

やることが多すぎると、兼務の担当者は手が止まります。「今月はこれだけやればいい」が決まっていると、忙しい月でも止まりません。

取材の担当を、社内で持ち回りにしている

三つめは、取材の担当を社内で回していることです。

鹿児島で屋根工事をしている会社では、月1回の取材を3人で分担しています。

この時間っていうものを3人で回してるので、実質3ヶ月に1回回ってくるんですね。なので、そこで各3人が担当する案件っていうのはそれぞれ違いますし、お客様の反応も一つ一つ違いますので。

1人が毎月1時間を出すのは、忙しい時期にはつらいものです。でも3人で回せば、自分の番は3か月に1回です。そして担当者が違うので、記事の中身も偏りません。

さらにこの会社では、取材が振り返りの時間になっていました。

過去を振り返ることもできて、「こういった仕事をしたな」とか、またその時にお客様の顔を思い出したりとか。またこれから取り組むお客様に対する姿勢なんかも、過去を振り返りながらまた新しく取り込んでいるというところで、良い時間になっていると思います。

初めて取材を受けた方も、こう話してくれました。

自分の振り返り、こういった思いでお客さんがご依頼いただいたなとか、こういった提案ができたなとか。もちろん勉強にもなりますし、ちゃんとしっかり振り返って、また今後に本当につなげることができるなというふうに感じました。

広報のための1時間が、そのまま社員の振り返りの時間になっています。「広報のため」だけの時間は、忙しい月にはどうしても削られます。でも勉強や振り返りの時間にもなっていれば、残ります。

「ちゃんとやらなきゃ」を手放している

四つめは、完璧を目指すのをやめたことです。

ある担当者様は、以前は広報が義務感になっていました。変わったきっかけは、AIを使っていいと知ったことだったそうです。

もうちょっと気楽にやっていいんだなと思えて。義務感だったのが、だんだん、ちょっと楽しいなという気持ちが芽生えてきて。

気持ちが軽くなると、投稿のペースも上がり、ホームページの中身も充実していきました。続けるためには、仕組みと同じくらい、担当者の気持ちが大事なんだと思います。

お客様の一言で「答え合わせ」をしている

五つめは、成果をお客様の言葉で確かめていることです。

会社には、こんな電話が入るようになりました。

「ホームページを見ました」って電話をかけてくれる方とか、「施工事例が良かったから依頼してみました」という声が。

鹿児島で屋根工事をしている会社では、商談の場面そのものが変わったそうです。

今日はこのお客様に2時間かけてしっかりみっちり商談しようと思ってもですね、見積書と提案書を広げた時に、お客様がホームページを拝見しているので「説明は不要です」と言っていただくんですよね。

「読まれている」ことの、いちばん分かりやすい形だと思います。アクセス数では見えない、「ホームページに書いたことが営業マンとなり、教科書となり、しっかりと伝わっている」現象が生じました。

アクセス数のグラフよりも、お客様の一言のほうが、社内には伝わります。「続けてよかった」と実感できる材料があると、次も続けられます。

自社でやること、外に任せること

5社の話を聞いて、はっきりしたことがあります。

工務店やリフォーム会社のホームページやSNSの更新が止まるのは、担当者のせいではありません。兼務で時間がなく、社内では後回しにされてしまうからなのです。さらに、事務の片手間でできる業務ではありません。そういう構造の中で、一人で頑張っている方が多くいらっしゃいます。

だから、全部を社内で抱えなくていいと思います。ヒアリングや文章にする作業は、外に任せられます。AIに手伝ってもらうこともできます。

ただ、手放してはいけないものもあります。どんなお客様に選ばれたいか。自社の何を伝えたいか。これは、社内にしか決められません。

大阪のリフォーム会社の経営者さんは、同じ悩みを持つ会社に向けて、こう話してくれました。

自分で全てやろう思ったら、前に行かない。

作業は任せる。判断は社内に残す。この線を引くだけで、広報はぐっと続けやすくなります。

よくある質問(FAQ)

工務店の広報が続かないのは、なぜですか?

多くの場合、担当者のやる気の問題ではなく、構造の問題です。広報は事務や経理との兼務でやっていることが多く、使える時間がもともとありません。さらに、社内の頼みごとは後回しにされやすく、毎日見ている自社の良さも当たり前になって見えにくくなります。

兼務の担当者でも、広報は続けられますか?

続けられます。月に1回、次の1か月でやることを2〜3個に絞るだけでも、止まりにくくなります。取材や文章にする作業を外に任せたり、AIを使ったりして、担当者が一人で抱えない形にするのがコツです。

営業に話を聞く時間がもらえません。どうすればいいですか?

社内からの頼みごとは、どうしても後回しになりがちです。外部の人が取材に入る形にすると、社外との約束として予定が組まれ、営業担当が時間を作ってくれるようになった例があります。

広報の何を外に任せて、何を社内に残せばいいですか?

取材、文章にする作業、写真の整え、更新作業などは外に任せられます。どんなお客様に選ばれたいか、自社の何を伝えるかという判断は、社内に残してください。

事務スタッフがいても、施工事例が書けないのはなぜですか?

事務の仕事と兼務だからです。ある会社では事務が4名いましたが、総務・経理・営業のサポートで手がいっぱいで、施工事例を詳しく書くところまで届きませんでした。人数ではなく、専任の時間があるかどうかの問題です。また、建築やリフォームの専門知識がないと、工事の中身を具体的に書くこと自体が難しくなります。

まとめ

工務店の広報が続かないのは、やる気のせいではありませんでした。

5社の話から見えた止まる理由は、4つです。広報が兼務であること。始めるより続けるほうが難しいこと。社内の「時間ください」は後回しにされること。毎日見ていると、自社の良さが見えなくなること。

そして、続いている会社は、外の人を入れて社内の時間を動かし、やることを小さく区切り、取材の担当を社内で持ち回りにし、完璧を手放し、お客様の一言で答え合わせをしていました。

もし今、広報が止まっているなら、自分を責める前に、まず仕組みを見直してみてください。

広報を社内でどう回していくかの全体像は、工務店広報の始め方にまとめています。担当者が辞めても止まらない形については、工務店の広報の属人化を解消も参考にしてください。

はぐくむのお客様の声

お客様の声 カプライリフォーム様
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ぜひ自慢のインタビュー記事をご覧ください!(はぐくむ高橋)

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この記事を書いた人

高橋 かずえのアバター 高橋 かずえ 代表取締役

はぐくむ株式会社 代表取締役 高橋かずえ|2005年創業。工務店やリフォーム会社の「伝える」を、22年支えてきました。

住宅業界を専門にするインタビューライターとして、そして工務店・リフォーム会社の広報を支援する伴走者として活動しています。2005年に独立し、「はぐくむ」を立ち上げました。以来、経営者・職人・現場監督、そして家を建てたお施主様まで、これまでにインタビューをした方は1,000人を超えます(導入事例、お客様の声、採用、経営者インタビューなど)。住宅そのものの取材は500件以上になりました。

住宅雑誌への執筆から、街の工務店さんの広報媒体、ハウスメーカーの制作物まで、幅広く手がけています。

kazue(at)hug-kumu.com  ※(at) を@に直してご連絡ください。 

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